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第十三話 信託

Author: 景文日向
last update Last Updated: 2025-12-27 19:30:16

 翌日、警視庁に足を運ぶ。上司はもう、何も言ってこない。言う必要もないと判断したのだろう。

 永田霞の一件以外にも、仕事は山積みだ。いや、永田霞のはもう事件ですらないのか。それは、仕事も溜まるな。

「隼」

「何でしょう、桜田警部補」

 隼は、俺の後輩だ。どこまでも真っ直ぐな男で、情に厚い。

「俺の仕事なんだが、隼が中心になって捜査してくれないか」

「え? いや、しかし──」

 難色を示すのは当たり前だ。これは越権行為、知れたら隼でもタダでは済まない。

「頼む」

「……理由を説明してください」

 確かに、何も言わずに任せるのは勢いが良すぎる。それに、警視庁という場で頼むのもおかしい。

 正常な判断力が失われているのか。昨日の一件を、まだ引きずっているのだとしたら。

 俺は、刑事でいる必要があるのか?

「わかった。だが、ここではなんだし……喫茶店にでも行こう」

「わかりました」

 俺たちは、警視庁を後にした。隼は、歩くのが早い。俺も早く歩かないと、すぐに追いつかれてしまう。

 有楽町の喫茶店は、どこもオシャレで気後れする。銀座と同じだ。俺に、この界隈は合わない。

「……それで、隼。お前に任せる、と言ったのには理由がある」

「それは、そうでしょうが……」

 隼の表情は曇ったままだ。多分、俺も同じような表情をしているのだろう。いい加減、 腹を割って話さなくては。

「俺は、非公式の事件を追っている。永田霞、覚えてるか」

「ああ、あの不起訴になった……」

 まだ記憶に新しい名前だ。隼がいくら忘れっぽいとはいえ、覚えていないわけはない。それくらいのインパクトはある。

「俺は、あの一件に裏があると思ってる。情報も、少なからず持ってる。ここで逃したら、俺は……一生後悔する」

「……」

 隼は黙ったままだ。何かを考えているのだろう
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